そこには段ボール箱にして10箱近くのレコードがあった。
ここ数年のあいだに買い取りで入手したレコードの山から気になるものをピックしたものも あれば、僕が専門店で気にいって購入したものもある。 「医者の不養生」ってやつで 僕のような古道具屋はかたずけや整理、手入れが仕事みたいなもので プライヴェートの事柄になると、てんでダメ。 雨の日曜日、来客も少ないだろうと算段し、一念発起。その膨大なレコードの 山の前で仁王立ちをした。 さて、どうカテゴライズするか? とりあえず、空き箱をいくつか並べてマジックで標した。 「ロック」、「ジャズ」、「ニュー・ウェーブ」、「ジャップ」、「フォーク」、「ブラック」、 「90’s~」 とりあえず、大まかにこの7つの分類で始めることにして、判断に迷いを生じた時 のためにポータブルレコードプレーヤーを用意し改めて視聴できるようにした。 そもそも僕はいわゆるテキスト通りのリスナーではなく、かなり偏った耳をしているので その行為は間違いなく「僕の僕による僕のための」カテゴライズであった。 たとえば、1940年前後のブールスは「ブラック」には分類されず、アメリカン・フォークロア 音楽として「フォーク」へと分類され、同様に民族色の強い「ジャズ」なども「フォーク」に 分類された。また、「ニュー・ウェーブ」はかなり広義な枠組みとして70年代後半から80年代 前半までの電子音楽、プログレ、パンク、ブラック・ミュージック、ロックを包括するが、 僕のかなり偏った価値観をクリアしたものだけは、「ロック」の箱へと昇格?された。 ジョン・リー・フッカーは「フォーク」、ファラオ・サンダースも「フォーク」 トーキング・ヘッズは「ロック」、ブライアン・オーガーも「ロック」 しかしながら、「ブラック」と「ロック」の箱の追加が相次ぎ、新たに「R&B」と「レゲエ」が追加され、 結局「ブラック・ブルース」と「ホワイト・ブルース」も新設された。 僕が気難しい顔をしながら、そうこうしている間にお客さんは予想に反してボチボチやっては来て、 なんだかんだ僕は控え目な接客しながら作業をしていたのだが、気が付くと僕がいるバックヤード にお客さんが入り込んで来て、 「いい音ですね。」 などといいながらポータブルレコードプレーヤーから流れる70年代のロックに耳を傾けうなずいている。 「ローファイな音ですけど、なんだか懐かしい音ですね。」 「その当時のレコードプレーヤーですからね。チープな音ですがしっかり鳴ります。それに手軽なんですよ」 僕が作業にあきらめてそう言うと、お客さんはしみじみした面持ちで 「それ、売り物ですか?」 とたずねてきた。 そんな感じのお客とのやりとりが今日は数回あり、2台のレコードプレーヤーと5枚のレコードが売れた。 結局レコードの整理は終わらなかったが、「そうゆうもんなんだな~」的な充実感を得られた 雨の日曜日でした。
by interestingman
| 2010-07-12 00:49
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