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帽子の中の言葉
古道具屋なんて者はまったくいい加減な者である。
そのうえ、図々しいたらありゃしない。

自分もご多分に漏れずそんな人間である。

しかしながらそれは、「いい加減で、図々しく」なくては
対応できない環境で生きているからであり、当人達も己の気質を
理解うえでその環境に生きているのである。

普通の物販であれば需要と供給の狭間で売れるものを意図的に仕入れ
意図的に売るワケだが我々はそうはいかない。
少しははそんな意図的に成立する重要と供給の関係があったりするが
大抵はそうではない。
扱っているモノは量産されているモノでは先ずないし、約束されたモノ
ではない。
「出物」などとよく言うがそれらは予測不可能な状況で、必要、不必要と
関係なく出てくる「モノ」達なのだ。

そんな世の中の迷子のような「モノ」達を我々は受け入れ、里親を探すように
あの手この手で販売している。

「店」とは名乗っているがいわゆる経済の原理である「需要と供給」が成立
しないことが多々あるのだ。簡単にいえば客の需要に対応できない事がしばしある。
しかしながら、その点に関して我々は諦めなくてはいけないし、客にも理解して
貰わなければいけない事になる。

結果「いい加減」で「図々しい」わけである。

または、この「いい加減」であり、「図々しい」印象を意図的にポーズしている
フシもなくはない。そして、それは「縁」という美学を正当化し、モノの希少性を
演出しお客への販売の手立てになっている。

。。。。とこのように「いい加減」で「図々しい」くせに意外と小難しい事を言ったり
するからめんどくさい。まったく古道具屋なのだ。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

ここ最近、世の中で流行っているのか店舗制作やリノベーションの仕事の依頼が多い。

チョコチョコこのブログでも紹介してはいるが、この手の仕事を当店のレギュラー業務サービスとしてオフィシャルプレスはしてはいない。あくまでも店舗にて客とのコミュニケーションから発展した提案であったり、口コミにて依頼されたりである。

そもそも当店は古道具屋であるわけで設計デザイン事務所ではないし、工務店ではないのだ。
そして、何よりも僕の行っている店舗制作のスタンスはそういった正統的なプロの方達と
は違う。これもまた、「いい加減」で「図々しい」ものなのだ。

今の世の中では大体のモノや事が「規格」という形をとっている。
生産や設計の観点からしてもそれは当然の流れであり、そうやってエンジニアは
生産性を高めコストダウンに成功し供給性を安定させ、消費者の信用や安心を獲得してきた。

しかしながら、当店で扱うものは「規格」外のモノばかり、僕の頭の中まで規格外の怪しげ
な事で溢れている。

それでは僕のやっていることは何か?
そういった理論や設計図に基づいての制作法である「エンジニアリング」とは対照的な
「ブリコラージュ」というものである。

「ブリコラージュ」とはフランスの文化人類学者レヴィ・ストロースによって著書「野生の
思考」にて提唱された思想である。
彼は近代のエンジニアリングの思考を「栽培された思考」とし、その氾濫によって作られて
いく画一的な近代社会に警鐘を鳴らし、普遍的な知のあり方としてこの「ブリコラージュ」
の重要性を説いた。

それでは「ブリコラージュ」とは何か?
もともとはフランス語の「bricoler」から成り、その意味としては「つくろう」「ごまかす」
であり、また「寄せ集めによる」行為とある。

まったく「いい加減」で「図々しい」のだ。

しかし、そこには即興性が試されながらも偶発的に作り上げられる斬新さがあったり、
何といっても喜びがある。

レヴィ・ストロース以前にも偶発性を重要視した技法はアートや文学にあり、現在では
音楽や諸芸術のある種の常套手段として継承されていった。

1920年代にトリスタン・ツァラは新聞から言葉を切り取りそれらを帽子に入れ、
ランダムに引いて、並べて詩の創作をし、「帽子の中の言葉」として発表した。
その後、画家のブライオン・ガイシンやウィリアム・S・バロウズに継承され、
「カット・アップ」という技法が確立していった。

そうやって僕は「帽子の中の言葉」ならず「店の中のガラクタ」を利用してポエティックな
空間を作っている。

まっ「いい加減」で「図々しい」んですけど…

最近では図々しくも「DJ TIC」という名でいい加減なDJ活動を始める始末。

来週末に親知らずの手術をします。

こわいです。
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by interestingman | 2014-06-28 17:17



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