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懐古的手揉処 ラクチン
先週の4月29日「昭和の日」
またしても当店がプロデュースしたマスターピースな店舗が
華々しく開店をした。その名も「懐古的手揉処 ラクチン」

カフェ、雑貨屋、美容室、サロン等の店舗はこれまでにあったが
整体院のブランディングは初めて。

事故の後遺症だか、目を酷使しすぎだか、ヒドイ猫背であるからか
分からないが僕自身慢性の凝り性で兼ねてから色々な整体やら
マッサージやらを受けにあちらこちらの店に足を運んだ身。
いろんな店舗や整体師の施術は受けてはいた。

ワリと仲が良く定期的に会っている従兄のKも整体師で二人で最近の
整体屋業界の動向もなんとなく話題に挙げながら
こないだ受けた施術はアーだとか、おとつい受けた施術はコーだとか
いいながら僕らが描く理想の整体院のブランディングに近いことは
冗談まじりで話していたこともあった。

H夫妻が当店に現われたのは2年前くらいか、ルノーのヴィンテージ車が
駐車場に止まりオシャレな中年カップルが車から出てきた、歳の頃は40代
後半?か?いかにも個性的で僕は第一印象から頷きと共に好感を持った。

「カナトハのオーナーさんの紹介で。。」

「そうですか。」

カフェでコーヒーを頼み、外で煙草を燻らせる二人。以前にも一度来店した
ことがあったのだが僕がいなかったのだという。

「倉庫の奥にレコードがあって若い店員の子に尋ねたら、電話で値段を聞いて
くれたのですけど、そりゃー売りモンじゃねーと怒られたみたいで。。。」
背が高く、メガネをかけた旦那さんが言った。

「それってキンクスのドーナッツ盤ですよね。ごめんなさい、私物で。。。」

「キンクス好きなんですか?」

「ビートルズか?ストーンズ?かで皆さん論議をするけど僕は論外のキンクスです。」

それからそこそこディープな音楽の話をしたと思う。たまたまその時、入荷した国内の
70、80年代のアイドル物のドーナツ盤レコードを見たいということで、倉庫の裏から
小さいダンボール一箱分持ってくると旦那さんは水を得た魚のように一枚一枚見始めた。

すると、そんな旦那の嗜好を優しい目で見つめる奥さんが言った。

「今日、この人、会社に行く途中事故にあって、会社を休んだんです。」

「あっ、そうなんですか。」

「自転車に乗っていて車に轢かれて、大したケガはしなかったんですが。。。そして今日
この人の誕生日なんです。」

「あっ、えっ、そうですか、おめでとうございます。」

何ともオリジナルな空気を持つ二人とその境遇に僕は微笑ましくなり、旦那さんが選んだ
数枚のレコードを誕生日プレゼントに差し上げた。

「誕生日に事故にあって、どこかで取り戻さなくてはね。」
二人は恐縮しながらもそれを受け取り、満足気で帰って行った。

それから二人は定期的に来店するようになった。

例のルノーのヴィンテージ車に乗ってきて、カフェに入ってくるとコーヒーとビールを
頼みジュークボックスを聴きながらマッタリとしていた。
時々、レコードがあると(レコードは基本的には当店で販売してないのだが)僕は裏から
ドーナツ盤レコードが入った段ボールを持ってきて旦那さんはレコードを漁り、奥さんは
やはりやさしい目でそんな旦那さんを見ていた。

ある時、旦那さんにたまたま僕が作ったミックスCDをあげると、翌週くらいにアンサー
ミックスとしてカセットテープをくれた。

「僕はテープが好きなんです。レコードからテープに落とすんです。」

僕が10代の頃、レンタルレコード屋が町にあって、そこで借りてきたレコードやCDは
当時はカセットテープにダビングしたものだった。今ではItuneやら何やらとある編集
アプリケーションでチャチャっとやってデータとハード(再生機)持ち歩く時代だが、
当時は何かとかさばり、ダビング自体もアナログで手間のかかる作業であった。
特にミックステープ作りとなるとかなりの時間とエネルギーが要した。曲順の流れ、
片面30分等の尺の合う曲の構成、スクリーントーン等を使いタイトル,曲名をレタリン
グして、60’sの西海岸中心のサザンロックミックスを作って愛しいあの娘に渡しても、

「A面の3曲目がチャゲアスっぽくて良かった。」

などといわれた青春の日々!おぅ~。

確かタランティーノの「デスプルーフ」だったと思うが劇中にこんなシーンがあった。
ドライブをする女4人が車中で会話をしている。一人が先日、自分の誕生日に彼から
ブランドのバッグだか何だかを貰ったと話し、また別の女は何処どこに旅行に連れて行って
貰ったと話す。話題は誕生日に貰った物でボーイフレンド達の彼女達への愛を量るという
ところが論点なのだが、3人目の女は先の二人より高価な物であった。しかし、最後の女が
貰ったものは彼の好きな曲のミックス。3人のうちの誰かがそのミックスがCDであるか?
テープであるか?を尋ねるとカセットテープであった。一瞬の空気のベクトル交換のあと、
先の3人は4人目の女のボーイフレンドが持つ愛が最も深いと認める。

よく出来た脚本である。

「デスプルーフ」自体もタランティーノはロドリゲスと共にグラインドハウス(B級映画)の
オマージュとして制作していて、作中には当時のフィルムエラーの質感やアナログ感が
散りばめられ、ある種の映画マニアにはたまらない作品になっている。

最近ではアナログソフト、またはハードにみられるノイズやエラーは幅広いメディア世界で
見直されているが、それはある種の雑味の美学。深みであり懐古感であったり。。。

旦那さんの作ったミックステープにはガレージパンクやパブロックなどの名曲が入ったノリノリ
のテープだった。それから、何度かミックステープを頂き、今でも愛聴している。

店に通い始めて1年後くらいに奥さんが整体師である事聞いた。

「ウチのかみさんが店をやる時はエージさんにお願いしたい」

と言ってくれてから早1年。

昭和初期の診療所、床屋、学校の保健室などをイメージにトランジスタラジオから流れる
昭和歌謡や40年代前後のイージーリスニング。B級感が溢れ、懐かしく、心身ともに疲れを
ほぐす「懐古的手揉処 ラクチン」。

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H夫妻そしてその子供達。家族みんなで協力して作り上げた店。
僕はこの家族からほんとあったかいモノをいただきました。
お疲れ様でした。

ラクチンH.P.
http://temomi-rakuchin.net/
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by interestingman | 2013-05-05 20:41



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