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cafe カフォン
今年の初め頃から淵野辺駅の近くのある物件が気になっていた。

マンションの1階の店舗でジョリーパッドの壁に黒いアイアンの
アコーディオンカーテン門の向こうには、堂々としたアーチ型の
観音開きのオーク材を仕様した大きな扉があり、アンティークタイル
を敷いたショーウィンドもある。
そのいかにもオサレなファサードの店は10年以上前からあったが
開店しているのを僕はこれまでに見たことがない。
聴くところによると高級ブティックであったらしく、
もう何年も開店していないらしかった。

しかし、今年の初め頃、テナント募集の張り紙が・・・

店を始める予定など全くないのにその貸し店舗を覗きこみながら
僕はあれやこれやといろんな空間作りを想像して愉しんでた。
その店舗の道を挟んだはす向かいの場所が息子の幼稚園のバスの
停留所なので送り向かいをしがてら習慣的にチェックをいれていた。

しかし、2週間もしない頃、突如、張り紙が消えていた。

ど、ど、どうなっちまうんだー。借主によってはその素敵なファサードや
店内の既存の内装(床はオーク材の板張り、天井には立派な梁が二本も
架かっている、トイレであろう扉は間違いなくイギリスアンティークの扉)
を解体してしまうだろう。そんな勿体無いこたーない。

借りる予定もないのに僕はジリジリとした気持ちをどうすることもできないまま
ことの流れを見守るしかないと自分をあきらめさせていた。

そんなある日

いつも通り、ガレージの前で手入れをしていたら、マルニ社のベルサイユソファ
の前でスーツ姿の女性がなにやら悩んでいるご様子。僕は近づいて声をかけた。

「ソファーをお探しですか?」

「あっ、はい。このソファがイイ感じだなーと思っていたんですけど、サイズが」

話してみると、とても気さくな感じの人で愛想もいい。

「ソファを設置する場所はどのくらいですか?」

「175㎝です。ソファを対面にしてその間にテーブルも置きたいんですけど・・・」

僕はそのソファーに合いそうなテーブルを持ってきてソファを対面に置いた。
そして僕と彼女はそれぞれのソファに腰を下ろし、テーブルの上で何かを食べるフリ
などをしながら実際に環境が機能する空間サイズにそれらを設置した。

「ちょっと無理そうですね。」

「そのようですね。」

図ってみると190cmくらいはあったと思う。彼女は残念そうだった。

「自宅用ですか?」

僕はかなりの高い確率で「自宅用ではない」という確信を持ちながら尋ねた。

「いえ、お店です。喫茶店を始めるんであれやこれやと探しているんです。
店の雰囲気がアンティーク調なので、そんな感じのソファやテーブルも
探しているんです。」

彼女が「そんな感じ」と表現した時の困った表情からして、それらの家具の
調度にはいささか手古摺っている様子だった。

「店の間取りはどんな感じですか?」

僕と彼女は対面、ソファーに座ったままそんな会話をしていた。
彼女は大体の店舗の状況を語り始めたのだが、聴けば聴くほど何やら、親しげな
空間が僕の脳に描かれていく。

僕はかなりの高い確率で「あの物件だ」という確信を持ちながら尋ねた。

「お店はどちらでやられるんですか?」

「淵野辺です。」

ビンゴ。


というワケで、パティシエ歴、10年のキャリアを持つKさんがシフォンケーキや
ベーグルを焼いてだしてくれるカフェ、cafe カフォンの内装デコレーション
やらせていただきました。

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しっとりソフト感を追求して完成させたというシフォンケーキは正に新食感な感じで
ベーグルもベーグル嫌いな僕でも美味しいと素直に認めてしまったほど。

5月1日、オープン。

んー、いろいろと満足。
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by interestingman | 2011-04-29 17:33
「終わり」と「始まり」の季節
ようやく4月も後半。
毎年、3月から4月の中頃までは忙しい日々が続く。

「終わりと始まり」の季節。
ある人は住み慣れた家を後にし、商売に見切りをつけ
店を閉めたり。
ある人は希望に胸を膨らませ新しい生活を始め、意を決して
商売を始めたり。

僕は「終わり」と「始まり」の間を行ったり、来たりしながら
慣れないその反復運動に軽度の眩暈を感じつつも、自分の使命だと
頑張る。そもそも僕の三半規管はあまり上等なものではないのだ。

それでもようやく世の中のそうした流れも落ち着き、僕も安静な
状態を取り戻しはじめた。

店の様子はというと商品の出入りは激しいがやはり入りの量のほうが
はるかに多い。
手入れもままなっていない状態で、手付かずの商品でバックヤードが
溢れている。
ブルースでも聴きながらボチボチと品物の手入れをしているのだが
最近、僕の心を完全に捉えたミュージシャンがいた。

ルシンダ・ウィリアムス。

わりと現役で活動している女性シンガーソングライターらしいが
僕は知らなんだだった。

彼女の声をはじめて意識して聴いたのは一年くらい前のことだった。

それは店の近くのカレーうどん屋さんにJさんとその友人のIさんと
3人でカウンターに座り、注文したカレーうどん(ソートーうまい)を
待っていると店内で流れている有線放送でその声は僕の耳に入ってきた。
しかしながら僕はその歌声を聴いて全く違う歌手と間違えて認識していて、
答え合わせもしないままその出来事は忘れていた。

僕がその歌声の持ち主だと思い込んでいた人物はドラッグストアーという
バンドの女性ボーカリスト、イザベラでそのバンドは90年代初期のヴェル
ベット系のイギリスのバンド。スモキーな歪んだギターにイザベルの
重く乾いたハスキーボイスで何処となくアンニュイなボーカルスタイルが
絡み合いその音は20代の血気盛んな僕の精神を癒してくれたものだった。

しかしカレーうどん屋でその声を聴いた時、歌声はイザベルのようだったが
バックの演奏はクリアトーンのカントリーロックな感じであり、僕は無理やり
イザベラがバンドを解散かなんかして、ソロとしてそのような音楽性に向いたの
だろうと勝手に頷いていた。

そしてあれから1年後、いつも通り僕はバラカンモーニングを聴いていると、
ズィ~ンといつの間にかに僕はある種のトランス状態に入った。
ラフなギターの弾き語りにラフなボーカル、音の共鳴具合からして正式な
スタジオではなく、正式な録音ではない。ものすごいパーソナル感が漂い、
僕の運転する車の助手席で僕の為に歌ってくれているようにも聴こえる。

バラカン氏はその音源が先日セールとなったルシンダ・ウィリアムスの
「BLESSED」2枚組の片盤「キッチン・テープス」であると告げた。

その日から1週間、僕の脳裏にはあの生生しい声がはりついて離れないで、
日々生活をしていた。
その声を反芻しながら僕はようやくそこであのカレーうどん屋で聴いたあれは
ルシンダ・ウィリアムスのものだと確信した。

そしてある日、客があれこれと家具を観ていた。
赤いサテン地のシェードのスタンドライトやイラン製の手織ラグ、重厚感のある
アメリカンな感じのソファ。

「エージさん、ルシンダ・ウィリアムスって知ってます?」

唐突なその質問の僕は文字通り、言葉を失った。

「彼女が出したアルバムのジャケットの一つに家具が揃った部屋がアートワークの
物があって、自分の部屋もあんな風にしたいんですよね。」

どうやら世の中が僕にルシンダを聴けと言っているようであった。

僕はその夜、アマゾンでCDを発注した。

そんなわけで最近ではもっぱらルシンダを聴いている。

「終わり」と「始まり」の余韻を感じながら・・・
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by interestingman | 2011-04-24 21:11



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